債務救済の取組

債務救済イニシアティブ

アフリカ開発銀行グループは、国際的な協調により実施される2つの債務救済プログラム、拡大HIPC(重債務貧困国)イニシアティブとMDRI(多国間債務救済イニシアティブ)の主要な参加者です。当行グループがこれらのイニシアティブに参加する第一の目的は、域内加盟国(RMC)の債務負担軽減を支援し、貧困削減と開発プログラムのために資源を開放することです。


HIPC(重債務貧困国)イニシアティブ

HIPCイニシアティブは、最も重い債務を負い、政策変更と改革プログラムを遂行する40ヵ国(うち33ヵ国はアフリカ諸国)に対し、それらの国が判断基準と完了基準に達した場合に、包括的な債務救済を提供するものです。当行グループは、HIPCイニシアティブに基づく支援を受ける適格国について、支払い期日が到来した債務の年間最大80%の返済額の減免を認めています。これは、債務救済額がコミット額に達するまで続けられます。


2015年12月末現在、HIPCイニシアティブが実施されている全33の有資格国中、30の域内加盟国が完了基準に達しました。チャドは依然として暫定救済期間にあります。判断基準に達していなかったソマリア、スーダン、エリトリアの3ヵ国は、依然として判断基準に達していません。チャドは、2015年の4月に完了基準に達しました。HIPCのチャドに対する債務救済額は、正味現在価値(NPV)で3,690万米ドルと推定されます。

当行グループは、完了基準に達した国に対しNPVで380万米ドルの債務救済援助にコミットしてきました。当初のHIPC有資格国のうち、判断基準にあったすべての国が今では完了基準に達しています。判断基準に達していなかったエリトリア、ソマリア、スーダンの3ヵ国は、HIPCイニシアティブに基づく債務救済の資格を得るプロセスをまだ開始していません。 HIPCの判断基準に達していない3ヵ国(エリトリア、ソマリア、スーダン)の状況は、依然として複雑かつ困難で緩慢なままです。

ソマリアとスーダンは、停滞解消に向けた準備の異なった段階にいます。当行グループは、ブレトンウッズ機関とともに、債務調整によるこうした国々の支援に緊密に協力し、停滞解消および判断基準の要件に近づいた時点でデータを完全に利用できるようにしています。スーダン政府が実行している改革は、IMFのプログラムに適合するための礎となり得ることから、HIPCの債務救済に必要な実績を積むことになります。


当行グループは今日までに、HIPC内部資金から4億1,620万米ドルを提供し、延滞解消業務に6億890万米ドルの資金を融資してきました。HIPCイニシアティブに基づく当行グループのアフリカにおける債務救済費用に対し、ドナー国は2016年3月時点で、世界銀行の債務救済付託基金(DRTF)を通じて総額34億米ドルを拠出しています。


多国間債務救済イニシアティブ(MDRI)

ミレニアム開発目標の達成に向けたプロセスを促進するため、2006年にはMDRIによりHIPCイニシアティブが拡充されました。MDRIは、HIPCイニシアティブの下で完了基準に達した国について、アフリカ開発基金(ADF)、米州開発銀行、世界銀行の国際開発協会、国際通貨基金(IMF)による適格債務の100%を免除するものです。MDRIでは、ドナー国は、ADFの長期資金の融資能力を保護するため、50年間に及ぶMDRIの期間(2004〜2054年)においてMDRIとの関連でADFが免除した資金の額に応じ、当行グループに補償を行うことを約束しています。

2016年3月末現在、ADFは、完了基準に達しMDRIの債務免除の適用資格を得た30ヵ国から、66億UAに相当する返済をすでに免除しています。MDRIの受益国となる資格を得る可能性のある33ヵ国向けの免除された返済に対するADFへのドナー国からの補償費は、2006年から2054年のMDRIの期間中、56億UAになると推定されています。 この数値はADF-13の為替レートを用い、チャドが完了基準に到達した後の最新の予測に基づいています。MDRIのADF-13期間とADF-14期間の費用はそれぞれ3億5,970万UAと4億2,990万UAで、期間毎に着実に増加しています。