グリーンボンドプログラム

背景

当行の10ヵ年戦略2013-2022はアフリカの成長の質を高めることを目指しており、2つの目標を柱に構成されています。第一の目標は、処遇・機会の平等はもとより本格的な貧困削減とそれに応じた大幅な雇用拡大につながる、よりインクルーシブな成長を達成することです。

第二の目標は、インクルーシブな成長を持続可能なものとすることです。その実現に向け、人々の暮しを守り、水・エネルギー・食糧安全保障を改善し、天然資源の持続可能な利用を促し、イノベーション・雇用創出・経済発展を後押しする「グリーン成長」へとアフリカが徐々に移行するよう当行は支援していきます。

グリーン成長に至るための優先課題としては、気候変動対応力の強化、持続可能なインフラの提供、生態系サービスの育成、天然資源(特に、成長に必要不可欠ながら気候変動の影響を最も受ける資源である水)の効率的かつ持続的な利用、などが挙げられます。


ハイライト

COP27は「アフリカのCOP」

 2022年11月にエジプトで開催される第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)では、グラスゴー気候合意に向けた進捗、特に気候変動ファイナンス向けに1,000億米ドルを動員するという目標が焦点となるでしょう。 2022年のカナダ・AfDB気候ファンドの運用化、気候及びジェンダープロジェクトへの譲許的融資、英国政府との「Room2Run」など、気候変動ファイナンスの新たな資金源の開発において、AfDBは引き続き積極的な役割を果たしています。これらにより、気候関連プロジェクトへのさらなる融資が可能となります。

●南アフリカで初となる私募によるグリーンボンド発行

 2022年8月、 AfDB初の南アフリカランド(ZAR)建てグリーンボンド(2億南アフリカランド、1年物、2023年9月償還)を発行しました。この債券は、アフリカにおけるグリーンファイナンスを支援するため、私募形式で発行され、日本の機関投資家に販売されました。この債券の調達資金は気候変動の悪影響に対するレジリエンスの構築に充てられます。

●砂漠化との戦い

 2022年5月にアビジャンで開催された第15回国連砂漠化対処条約締約国会議(COP15)において、AfDBは砂漠化・土壌劣化への対処と、持続可能な生態系の回復への投資拡大による干ばつの影響緩和に取り組むことを改めて確認しました。COP15では、アフリカの広大な砂漠を、緑豊かなグリーンベルトへと再生する野心的なプロジェクト「緑の長城」に関する議論が行われました。AfDBは2025年までにこのプロジェクトに65億米ドルを拠出する予定です。

●スウェーデンの投資家がAfDBのグリーンボンドを支援

 2022年2月、10億スウェーデンクローナ(SEK)の5年物グリーンボンド(2027年2月償還)を発行し、3月に5億スウェーデンクローナを追加発行しました。これはAfDBにとって、2013年にグリーンボンド枠組を設置して以来、スウェーデン市場で6度目のグリーンボンド発行であり、これまでに合計65億スウェーデンクローナを調達しました。

 ●COP26における主導的役割

 2021年11月に開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、グラスゴー気候合意が採択され、グローバルな気候変動交渉における重要な節目となりました。この合意には、アフリカを気候変動の影響から守るために不可欠なさまざまなコミットメントが含まれています。具体的には、気候適応投資の拡大、2025年までに途上国向けに1,000億米ドルの気候変動ファイナンスを提供するための計画、最貧国や最も脆弱な国で生じる気候変動による損失や損害に対処するためのさらなる努力などが盛り込まれています。

 ●新たな気候・グリーン成長戦略枠組

 2021年10月、新たな「気候・グリーン成長戦略枠組」を発表し、2023年までにすべての新規オペレーションをパリ協定の野心的目標と整合させ、2025年までに国レベル及び内部のオペレーションを全て同協定と整合させることを全面的に約束しました。この枠組は、「政策」、「戦略(2021年~2030年)」、「気候変動行動計画(2021年~2025年)」で構成されています。

●カンガルー債ESG市場に目を向ける

 2021年4月、1億1,500万豪ドルの10年物グリーン・カンガルー債(2031年11月償還)について、2,500万豪ドルの追加発行を行い、発行総額は1億4,000万豪ドルとなりました。2021年に豪ドル市場で初めて発行した6億豪ドルの5.5年物ソーシャルボンドの成功に続き、2022年4月には1億5,500万豪ドルの10.5年物ソーシャル・カンガルー債(2032年10月償還)を発行し、日本の機関投資家向けに販売しました。


グリーンボンド原則 要素1:収益の利用

適格プロジェクト:AfDBグリーンボンド専用ウェブサイトで入手可能なAfDBグリーンボンド枠組みに定義する、低炭素開発又は気候変動対応力開発のいずれかを促進するプロジェクト。

適格プロジェクトの代表例
  • 再生可能エネルギーの生産
  • 省エネルギー化
  • 低燃費車両への改造又は都市交通のモーダルシフト
  • 生物圏保護プロジェクト
  • 固形廃棄物管理
  • 漏えい排出物及び炭素回収
  • 都市開発
  • 上水道及び水利用
  • 低炭素輸送

グリーンボンド原則 要素2:プロジェクト評価・選定のプロセス

適格プロジェクトの選定

●AfDBのエネルギー・環境・気候変動局は、任意の会計年度に承認されたすべてのプロジェクトのなかから、MDBと共同及びAfDBの気候変動ファイナンストラッキング方法を用いて、気候変動関連プロジェクトを特定・分類します。

●AfDBのエネルギー・環境・気候変動局は、AfDBのグリーンボンドプログラムに基づく追加選定基準を適用し、ポートフォリオに含めることのできるプロジェクトを分類します。グリーンボンド発行に関するポートフォリオに含むべき最終的なプロジェクト一覧は、AfDBのエネルギー・環境・気候変動部が提案する一覧に基づき、同局及び財務局の双方による合意を得ます。


グリーンボンド原則 要素3:収益の管理

収益の配分

債券発行額の純収益は、各発行体によって気候変動対応・緩和分野における融資業務にリンクしたサブポートフォリオに割り当てられます(適格プロジェクト)。グリーンボンドの償還までの期間、このサブポートフォリオの残高は各半期末に、適格プロジェクトに支出された額だけ減額されます。未使用の債券発行額は、各発行体の流動性ポートフォリオに分類されます。


グリーンボンド原則 要素4:報告

年次報告

AfDBは年次報告書のなかで、所定の年に起債されたグリーンボンド発行額を開示しています。

グリーンボンドニュースレター

 AfDBはグリーンボンドの適格プロジェクトへの配分、ポートフォリオの詳細、プロジェクトの成果等について、ニュースレターで最新情報を提供しています。
2020年より、グリーンボンドニュースレターとソーシャルボンドニュースレターを統合し、グリーン&ソーシャルボンドニュースレターを発行しています。最新のニュースレターはソーシャルボンドのページをご覧ください。

   2018年   Green Bond Newsletter  English   日本語

   2017年 Green Bond Newsletter  English  日本語

   過去のニュースレター(English)はこちら

保証(グリーンボンド原則の勧告)

CICEROのセカンド・オピニオン
ノルウェー・オスロを本拠とする独立系研究機関の国際気候環境研究センター(CICERO)は、当行のグリーンボンド枠組および気候変動関連ファイナンスへのアプローチについて「セカンド・オピニオン」を発行しています。詳細な報告書は、当行ウェブサイトのグリーンボンドプログラムのページに掲載しています。


当行はグリーン成長戦略に従い、2013年終盤に 「グリーン」ボンドを起債しました。これは当行にとって初のシンジケート方式によるグリーンボンド取引です。5億米ドルの調達資金は、当行の長期戦略に則り、低炭素化と気候変動への適応を狙ったプロジェクトを支援するために配分されます。今回発行したグリーンボンドに対しては、社会的責任投資のポートフォリオから高い関心が示され、全体の84%がその目的に触発された投資家により購入されました。今回の起債が成功を収めたことから、トリプルA格付けを持つ国際機関が発行するグリーンボンドへの機関投資家の需要は高まっていると考えてよいでしょう。

そして2014年には、当行はスウェーデン・クローナ市場で初めての起債に成功しました。5年物グリーンボンドを2銘柄、変動および固定金利で発行し、総額10億クローナを調達しました。この2つの取引は、グリーンボンドの新たな枠組の下で当行が行った第2回目、第3回目のグリーンボンドの起債となりました。

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