「African Economic Outlook 2019」-アフリカは引き続き堅調な成長予想、製造業が更なる成長のけん引役に-


  1月17日、アフリカ開発銀行は「African Economic Outlook 2019」を発表しました。アフリカ経済は回復を続けており、GDP成長は2019年に4.0%、2020年には4.1%が予想されています。しかしながら、マクロ経済や雇用情勢が改善するためには製造業が成長をけん引することが必要があると同報告書は述べています。

  「African Economic Outlook 2019」発表に際し、アフリカ開発銀行のボアマ上級副総裁は、様々なアフリカの課題が本報告書で述べられている一方、「各国がお互いに手を携え、地域統合や移動の自由における障壁を取り払うことで、困難な課題を克服する手段をアフリカは持っている」と語りました。

  「African Economic Outlook 2019」は主要となる3つのテーマ、すなわち(1)アフリカのマクロ経済動向と展望、(2)雇用、成長、企業のダイナミズム、(3)アフリカの経済繁栄に向けた地域統合、に焦点を当てています。

 

  当行マクロ経済政策予測・研究局のムルスィー局長は、アフリカ各国が抱える債務について言及し、アフリカ全体では債務は増えているものの、債務危機のシステミック・リスクはないとしています。

  雇用と成長については、現在の労働人口の伸び率を踏まえ、失業率を増やさないためにアフリカは毎年1,200万の新たな雇用を生み出す必要があります。報告書の中ではアフリカ各国の比較優位を確立する、協調の下での工業化の努力を続ける必要が言及されています。特に製造業による成長は雇用創出にもっとも高い効果があるとムルスィー局長は述べています。

  次に、アフリカの地域統合に関して、同報告書の中では、国境の垣根を越えた「ボーダーレスアフリカ」の実現が、アフリカを世界のビジネスセンターとなりうる、競争力を持った市場とするに重要な基盤の一つとしています。

  報告書の中では、最新のデータや分析を用いて、2018年3月にアフリカ諸国44か国が署名したアフリカ大陸自由貿易協定(Continental Free Trade Agreement: CFTA)が、すべてのアフリカの国々に大きな恩恵をもたらすことが紹介されています。また、実行してうまくいった場合に、アフリカのGDP成長率を4.5%(年間1,340億米ドルに相当)に引き上げる可能性のある、以下5つの通商政策措置を明らかにしています。

・アフリカにおけるすべての二国間関税を撤廃すること
・簡素、柔軟、かつ透明な原産地規制を継続すること
・モノとサービスに対するあらゆる非関税障壁を撤廃すること
・越境貿易の時間及び非関税の取引コストを削減するためにWTO貿易円滑化協定を履行すること
・アフリカ以外の発展途上国と関税・非関税障壁を50%削減するための交渉をすること

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  2019 African Economic Outlookのダウンロードはこちら(英語、フランス語、ポルトガル語)

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