金融商品

アフリカ開発銀行の金融商品について、一般取引条件をご紹介します。

詳しくは、Financial Products Handbookをご参照ください。

 

融資

当行は非譲許的融資を顧客に提供しています。当行の標準的融資は、ソブリン(政府保証付き)融資(SGL)またはノンソブリン(政府保証のない)融資(NSGL)です。

ソブリン保証付き融資(SGL)

SGLは、域内加盟国(RMC)またはその公共セクターの企業に対し、中央政府による100%の保証(full faith and credit)に基づいて提供される融資です。多国籍機関も、1つまたは複数のRMCによる保証がある場合には、SGLの対象となります。

SGLの標準商品は完全フレキシブル・ローン(FFL)であり、2016年3月に導入されました。FFLは、最大25年の満期および最大8年のグレース期間を持ち、借り手のニーズに応じた柔軟な金利・通貨・返済条件の設定が可能です。FFLには、金利固定、通貨変更、コモディティ連動などのリスク管理オプションが組み込まれています。

ノンソブリン保証融資(NSGL)

NSGLは、政府保証を必要としない公共セクター企業、または民間セクター企業に対して提供されます。NSGLは、固定スプレッド・ローン(FSL)という商品形態で提供されており、借り手の信用リスクに応じたスプレッドが、ローン期間を通じて固定されます。

FSLは、企業向けのコーポレートファイナンスおよびプロジェクトファイナンスの両方に対応しており、最大15年の満期と最大5年のグレース期間が設定可能です。通貨は、USD、EUR、ZAR、JPY、その他承認された通貨で提供されます。FSLにも、金利固定や通貨変更などのリスク管理オプションが利用可能です。

 

【融資スキームの種類】
クレジットライン

クレジットラインは、固定スプレッド・ローン(FSL)の一種です。当行はこの商品を金融機関に対して提供し、金融機関が顧客へのオン・レンディング(転貸融資)を行うために利用されます。特に、当行からの直接融資が難しい小規模事業者や、女性・若者主導の企業などを支援する手段として活用されます。

AfDBは金融機関の信用リスクを負いますが、最終的な借り手(サブローン先)のリスクは金融機関が管理します。通常は無担保の優先債務として提供されますが、必要に応じて追加の担保を求めることもあります。

契約には、AfDBから金融機関への融資条件や、資金の使途となるサブプロジェクトの基準が明記されます。

エージェントライン

エージェンシーラインは、固定スプレッド・ローン(FSL)の一種で、中小企業(SME)支援を目的としています。金融機関や第三者パートナーが当行の代理人として、事前に合意された基準に基づき、対象プロジェクトを選定し、当行の資金を使って融資を行います。

仲介機関は、当行と並行して自己資金も投入し、借り手企業の監督を行います。仲介機関は当行の代理人として行動するため、当行の資金に関する信用リスクは負いません。借り手の信用リスクは当行が負担します。

当行は、仲介機関が行う融資業務(評価、契約、請求、回収など)に対して、エージェンシー手数料を支払います。

現地通貨建て融資

AfDBの現地通貨建て融資には、主に2つの目的があります。

  1. 借り手の為替リスクを減らすこと
  2. 現地通貨での資金調達を通じて、各国の資本市場の発展を支援すること

この融資では、AfDBが現地通貨を調達し、その条件に合わせて借り手に同じ条件で貸し付けます(金利は調達コストをそのまま反映)。

現地通貨建て融資は、ソブリンまたはソブリン保証付きの場合は完全フレキシブル・ローン(FFL)、ソブリン保証なしの場合は固定スプレッド・ローン(FSL)として提供されます。

また、現地通貨での調達条件によって、融資の期間や返済方法、繰上げ返済の可否などが制限される場合があります。

シンジケートローン

シンジケートローンは、1つのプロジェクトに対して複数の貸し手が資金を提供する仕組みです。AfDBが提供する主なシンジケーションの形は以下の2つです:

  • ●A/Bローン

AfDBが「Aローン」を提供し、他の金融機関が「Bローン」として参加します。AfDBは契約上の貸し手として記録され、Bローンの参加者はそれぞれの出資分に応じてプロジェクトのリスクを負担します。この仕組みにより、AfDBの信用力を活かして民間資本を呼び込み、より良い条件で資金調達が可能になります。

  • ●パラレルローン

AfDBは主幹事として、複数の金融機関がそれぞれ独立して融資を行う形を調整します。各金融機関は自分のルールに基づいて契約を結びますが、共通の契約条件(Common Terms Agreement)に基づいて連携します。特に開発金融機関(DFI)が多く参加する案件でよく使われる仕組みです。

 

保証

アフリカでは、資金ニーズが非常に大きい一方で、民間投資は他地域に比べて集まりにくく、資金調達コストも高くなりがちです。当行は、国際的な信用力やAAA格付けを活かし、こうしたリスクを一部肩代わりすることで、アフリカのプロジェクトがより持続可能な条件で民間資金を調達できるよう支援しています。当行が提供する保証商品は以下の2種類です:

部分リスク保証(Partial Risk Guarantee:PRG)

PRGは、政府や政府関連機関が民間プロジェクトに対して負う契約上の義務や、政治的リスクをカバーする保証です。電力、水、交通、通信、鉱業などの分野で、官民連携(PPP)を含むプロジェクトに対して、政府が契約を履行することを保証することで、民間投資を呼び込みます。

部分信用保証(Partial Credit Guarantee:PCG)

PCGは、借り手(政府、国有企業、民間企業など)が債務の返済を履行できない場合に備えて、商業金融機関や投資家に対して支払いを保証するものです。これにより、借り手はより有利な条件で資金を調達することが可能になります。また、政府が政策改革や予算支援を目的として商業資金を調達する場合には、「政策ベース保証(PBG)」として活用されます。

リスク管理商品

当行からの融資に関連する金利、通貨、コモディティ価格のリスクなどの市場リスクを借り手が管理できるよう、リスク管理商品を提供しています。この商品は、借り手が自身のバランスシートや変化する自身のニーズを長期間にわたりより効率よく管理できるよう支援するものです。借り手は、金利スワップ、通貨スワップ、コモディティスワップ、金利キャップ、金利カラーなどのリスク管理商品を融資期間中いつでも利用することができます。

株式または準株式

当行は、加盟国の事業会社や投資ビークルに対して、株式や準株式(デットと株式の両方の特徴を持つ資本)を提供しています。これらは主に、資源の有効活用やアフリカ企業の株主拡大、他の投資家の呼び込み、新しい事業の創出を目的としています。

投資対象は、民間企業、民営化中の公的企業、ソブリン保証のない地域機関、SPV(特別目的会社)やPPP(官民連携)によるプロジェクトファイナンスなどです。拡大や多角化を目指す企業やスタートアップも対象ですが、持続的な経営が見込めることが条件です。各案件のニーズに合わせて柔軟に設計でき、当行の開発目標や収益性も重視されます。

貿易金融プログラム

当行の貿易金融プログラムは、アフリカの貿易金融不足を解消することを目的としています。民間企業や地域の金融機関の活動を補完しながら、貿易を支える現地銀行の強化や、グローバル銀行の参加を促しています。このプログラムは、地域統合やアフリカ域内貿易の促進にも力を入れており、主に低所得国の中小企業や地元銀行を対象に、農業、軽工業、資本財などの重要分野を支援しています。

当プログラムは、短期の貿易取引専用の資金提供を行い、1)リスク参加契約、2)貿易金融向け信用枠、3)ソフトコモディティ金融ファシリティ、4)取引保証を提供しています。さらに、必要に応じて株式投資や技術支援も活用し、現地金融機関の能力向上を図っています。

信託基金、特別基金、共同融資

当行は、さまざまな信託基金、特別基金、共同融資の枠組みを運営しており、外部資金の実施機関としても活動しています。これらの資金は、単独または組み合わせて、ビジネス環境の整備やプロジェクト準備から長期資金提供まで、幅広い活動を支援するための助成金や優遇・非優遇融資を提供できます。当行の金融商品と他の資金との補完性を確保することで、付加価値を最大化しています。

その他の金融サービス

上記の商品のほか、当行の官民セクターの各窓口を通じて技術支援や引受サービスを提供する場合もあります。

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