リスク管理の方針と手続
当行は、開発融資や関連援助を提供する中核事業にとって不必要なリスクへのエクスポージャーを最小限にとどめる努力をしています。 そのため、当行のリスク管理の方針、指針、実践は金利、通貨、流動性、契約相手、法律上およびその他の運用リスクへのエクスポージャーを減らし、同時に、承認されたリスク限度の中で、公共および民間部門の顧客の信用リスクを引き受ける当行の能力を最大化するように設計されています。
信用リスク管理
ソブリン信用リスク管理
当行が公共部門の融資先に融資を行う場合は、当行は通常、融資先の加盟国から十分なソブリン保証あるいは同等の保証を要求します。 当行の融資先加盟国の与信リスク格付けは、与信リスク管理部署内の国リスクアナリストの独立チームにより四半期ごとに評価されます。 ソブリン与信リスクプロセスでは、当行のフィールドエコノミストの広大な資源基盤の実践的で深い専門知識が活用されます。
非ソブリン信用リスク管理
当行が民間部門の融資先あるいは飛び地プロジェクトに融資する場合は、全額のソブリン保証または同等の保証は受けません。 したがって、1 年を通してのプロジェクト評価の変化と未払ポートフォリオの発展の結果として、非ソブリンポートフォリオの期待損失率が変わります。 プロジェクトの与信リスク格付けは、与信リスク管理部署内の民間部門専門家のチームにより四半期ごとに評価されます。
市場リスク管理
金利リスク管理
市場金利の変化から当行を保護するという目的を達成するために、当行はその資産および負債の感応性を一致させます。 望ましい一致を実行するための当行の戦略は、金利に敏感な資産および負債の大まかな 2 つのタイプ (変動利率と固定利率) に貸借対照表を分割し、貸借対照表構成要素ごとの金利プロフィールを適切なベンチマークに合わせて調整することです。
通貨リスク管理
当行の設立契約では、ある通貨建ての負債 (スワップ取引後) を同じ通貨の資産と同額にするよう規定し、当行が為替リスクを直接引き受けることを明確に禁止しています。 当行の純資産は SDR に相当する計算単位 (UA) 建てであるため、為替レートが変動する場合は潜在的に換算リスクにさらされる純資産を保有することになります。 当行は可能な限り純資産の通貨構成を SDR の通貨構成に一致させることで、UA で表した純資産価額の潜在的変動を最小限に抑えるように努めています。
流動性リスク管理
長期開発の貸し手として当行は十分な流動資産を保有し、期間の延長に際して資本市場から新しい資金を得られないような予想外のイベントが発生した場合でも通常の業務を続けることができます。 当行の方針では、予測される正味融資振替、偶発債務、債務返済に基づいて、健全な最小流動資産を維持することが要求されます。 同様に、当行の方針は、最小流動資産を基準として、運用レベルまで流動性資金を増加することを許可します。加えて、低費用の融資機会が発生したらそれを活用するために未払や取消不能の確約を考慮に入れます。オペレーショナルリスク管理
オペレーショナルリスクはプロセス、システムまたは人的障害、予想外のイベント、契約の履行不能性に起因する損失として定義されます。このクラスのリスクは下落に制限がなく、機関を深刻な財政的および名声的損失にさらす可能性があります。最近、その証拠として巨大企業の損失が広く世界中に報道されました。他の金融機関と同様に、当行はさまざまなタイプのオペレーショナルリスクにさらされています。これには、情報、通信、物理的セーフガード、事業継続性、監督、トランザクション処理、決済システムおよび手続、法律上の受託者責任ならびに仲介者責任の実行などの機能停止により引き起こされた内部活動または外部イベントにより発生した潜在的損失が含まれます。
当行グループのオペレーショナルリスク活動
当行グループのオペレーショナルリスク活動は現在のところ、システム環境の改善とプロセスの変更から構成されています。統合制御フレームワークの導入も追加されることが予測されています。過去数年間で、当行グループは、その任務実行における効率性を改善するだけでなく、全体的内部統制環境を強化するための幅広い改革を導入してきました。
外部イベント誘発の変更
当行には証明された事業継続性と災害準備計画があり、災害の余波の中でも重要な業務をすぐに継続し、その他の業務もしばらくしてから続行することができます。 常に用意が整っているように、この計画は継続的に更新され、試験されます。
資金リスク管理
融資先のニーズに応え、市場金利と為替レートの変動リスクを管理し、支払に先立ちその流動資産を一時的に投資するために、当行はさまざまな金融商品を利用し、多数の取引相手や証券会社と取引します。 これらの金融商品はすべて、その程度はさまざまでも、取引相手が当行に対する義務を履行することができなくなる可能性があるというリスクを伴います。
当行は取引相手の評価に厳密な適格性基準を保持し、取引相手の信用格付けと規模に基づくエクスポージャー限度 (当行のリスク資本合計の最大 10%) のフレームワークに従います。 さらに、当行はデリバティブの取引相手と取引を開始する前に、ISDA 基本契約および相殺契約を結びます。
当行の資産および負債に対するエクスポージャー限度、組み入れ限度、ボラティリティ限度の点から、全体的なリスク管理方針および指針を実践し、それに準拠するために、資金リスクマネジャーがこのようなエクスポージャーを継続的に監視し、定期的な再調整目的で報告するために重要な役割を果たします。