2020年版アフリカ経済見通しを発表しました
2020/2/10
1月30日、アフリカ開発銀行は2020年版アフリカ経済見通し(African Economic Outlook 2020)を発表しました。
アフリカ経済は強い成長を遂げているが、経済成長のみではアフリカ大陸の最貧層のニーズを満たすことは出来ない、なぜなら「GDPを食べることはできない」からだと、アフリカ経済見通し発表に際し、アフリカ開発銀行アキンウミ・アデシナ総裁は述べました。
2020年版アフリカ経済見通しは、アフリカ経済が世界経済を上回る堅調な成長を遂げていることを示しています。アフリカの成長率は2019年の3.4%から2020年には3.9%、2021年には4.1%に着実に上昇すると予測されています。
しかしながら報告書によれば、これらの数字は全体を物語っていません。アフリカ大陸において、貧困層は力強い経済成長の恩恵を十分に享受していません。アフリカ諸国の中で、極度の貧困と不平等が大きく減少した国はむしろ少なく、世界の他の地域よりも高いままです。
報告書では、インクルーシブな成長は、データがある48か国中のうち18ヶ国でしか見られていないことが明らかにされています。
アデシナ総裁は「成長は目に見えるものでなければならない。成長は平等でなければならない。成長は人々が生活の中で実感が得られるものでなければならない」と述べています。
2020年版アフリカ経済見通しのテーマである「未来のためのアフリカの労働力の発展」は、若年労働者のスキルと雇用主のニーズの不一致によりインクルーシブな成長が抑制されているアフリカ諸国において、人的資本の開発に取り組むための迅速な行動を求めています 。
同報告書は、教育への投資を増加させることが、貧困層や社会的弱者に高い優先順位を置き、社会的利益が最も高い基礎教育に焦点を当てるという、万人に裨益する進歩的な教育支出と同様に、重要であると述べています。 そのために、遠隔地における教育へのアクセスの改善、無料の制服・教科書などのインセンティブ、児童労働の禁止、教員による教育基準の改善が提言されています。
また、報告書は、労働者のスキルと就労機会をよりよく一致させるために、ソフトウェアエンジニア、マーケティングスペシャリスト、データアナリストを含む、民間セクターで急速に新興しつつある仕事に合わせて需要主導型の教育システムを政府が開発する必要があると提言しています。
「アフリカは資源に恵まれていますが、その未来は人々の中にあります。教育は平等をもたらします。 労働力を発展させることによってのみ、貧困を減らし、富裕層と貧困層間の所得格差を縮め、知識集約型セクターで雇用を創出するための新しいテクノロジーを身につけることが出来るのです」と当行マクロ経済政策予測・研究局のハナン・ムルスィー局長は述べています。
2020年版アフリカ経済見通しは以下のリンクからダウンロードできます。
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