アフリカ開発銀行と日本政府は、アフリカの成長加速と貧困削減を目的とする、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)を拡充し、30億ドルの資金協力を行うことを発表しました
2016/8/26
日本政府・アフリカ開発銀行(AfDB)共同プレスリリース(仮訳)
第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)
~ アフリカ開発銀行と日本政府は、アフリカの成長加速と貧困削減を目的とする、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)を拡充し、30億ドルの資金協力を行います ~
(ナイロビ、8月26日)
本日、アフリカ開発銀行(AfDB)と日本政府は、今後3年間で30億ドルの資金協力を行うことを共同の目標とすることを発表しました。これにより、アフリカにおいて経済成長を加速させ、貧困削減を進めるための資金が大幅に拡大されることになります。この資金協力は、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」第3フェーズ(EPSA3)として実施されます。
日本は、国際協力機構(JICA)を通じ、3年で15億ドルを目標とした資金協力を行います。また、AfDBは、少なくとも日本と同額の協力を行うことを目標とします。これに加えて日本は、アフリカ諸国が二酸化炭素排出量を最少とするクリーン・コール・テクノロジーにアクセスできるようにするため、3億ドルの特別枠を設け、AfDBとの協調融資を行います。
大塚拓財務副大臣は、「本日、AfDBと日本は、両者の長年にわたる協力関係の中核をなすEPSAイニシアティブを拡充し、アフリカにおける民間セクター主導の経済成長を加速させるために協力していくことに合意しました。アフリカの民間セクター開発が促進されるよう、日本は今後ともAfDBと緊密に連携し、強靭で質の高いインフラの供給や、保健システムの強化を進めていきます。」と表明しました。
アキンウミ・アデシナAfDB総裁は、「EPSA3は、アフリカの経済構造転換に大きな役割を演じる民間セクターに対して、支援を大幅に拡大するものです。EPSAイニシアティブの拡充は、電力へのアクセスの拡大、アフリカ大陸の産業化の加速、何百万ものアフリカの人々の生活の質の向上に資するものです。これらは全て、AfDBの5大重点分野(The High 5s)の重要な構成要素です。我々は、戦略的に重要なパートナーの一つである日本とパートナーを組めることを誇りに思います。」と述べました。The High 5sとは、今後10年でアフリカの経済構造改革を推進するという課題に取り組むに当たり、AfDBとして重点を置く分野を示したもので、具体的には電力・エネルギーの確保、食糧の増産、統合推進、産業化、人々の生活の質の向上、の5分野です。
初のアフリカ開催となるTICADVIで表明されたEPSA3は、経済的インフラ(運輸、エネルギー等)及び社会的インフラ(保健、教育、栄養)を重点分野としています。EPSAイニシアティブは、2005年のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて打ち上げられたものです。EPSAの支援対象には、今回、教育や保健といった、民間セクター開発に資する分野も含まれることになりました。日本は、EPSA1(2005-2011)において、10億ドル相当の円借款を供与しました。現在のEPSA2(2012-2016)では、20億ドルを目標とした円借款の供与を進めています。
EPSAイニシアティブは、国境を越えたインフラの開発において、重要な役割を担っています。また、AfDBの民間セクター向け業務は、EPSA1期間中に10倍近くにまで拡大し、さらに、EPSA2期間が始まってからほぼ倍増しました。
背景
EPSAイニシアティブは、AfDBの民間セクター開発戦略の展開を支える枠組みの一つで、アジアや世界の他の地域における成功体験に基づき、日本政府とAfDBのパートナーシップの下で立案されたものです。EPSAは、次の3つの部分から構成されています。
○ アフリカ向け協調融資促進ファシリティ(ACFA):アフリカ各国政府を対象としたAfDB・JICAの協調融資の枠組みです。ACFAの下、JICAは、優遇金利により融資を実行します。
○ ノンソブリン事業向けEPSAローン(NSL):AfDBの民間セクター向け業務における出融資の原資として、JICAからAfDBに対し、クレジットラインを設定するものです。
○ アフリカ民間セクター向け支援基金(FAPA):マルチドナー信託基金で、AfDBから支援を受ける公的セクター・民間セクターの双方を対象に、技術協力や能力構築支援を行うものです。資金貢献の多くは日本政府によるもので、信託基金の管理はAfDBに委ねられています。
「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」(EPSA)の拡充の概要