「アフリカ経済見通し2022」の発表:長引くCovid-19パンデミックとロシア・ウクライナ戦争の影響


アフリカ開発銀行は5月25日、「アフリカ経済見通し(African Economic Outlook: AEO)2022年版」を発表しました。AEO 2022によれば、2021年のアフリカの国内総生産(GDP)は力強く回復しましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの長引く影響及びロシアのウクライナ侵攻とそれに続く戦争は、中期的には非常に大きな難題をもたらす可能性があります。 

AEO2022では、アフリカのGDPは、2020年にパンデミックの影響でマイナス1.6%となった後、2021年には6.9%の成長となったと予測しています。 

原油価格の上昇と世界的な需要により、アフリカのマクロ経済のファンダメンタルズは概ね改善されました。しかし、2022年の経済成長率は4.1%に減速し、2023年も、長引くパンデミックとロシア・ウクライナ戦争によるインフレ圧力により、同水準に留まるとAEOでは予測しています。ロシアとウクライナはアフリカの主要な穀物供給国だからです。 

アフリカ開発銀行グループは、迫り来る食料危機への対応として、15億ドルのアフリカ緊急食料生産ファシリティを前週、理事会において承認しました。アデシナ総裁は、アフリカ開発銀行グループの対応、G20による債務処理のための共通枠組み、国際通貨基金による6500億ドルの特別引出権(SDR)等の国際的な取り組みが、アフリカ大陸の回復を支えていると述べています。 

AEO2022のテーマは、「アフリカにおける気候レジリエンスと公正なエネルギー転換の支援」で、アフリカの人々の生命と生活への脅威が高まっていることに焦点を当てています。AEO2022は、ガーナのアクラで開催されたアフリカ開発銀行の年次総会で発表されました。年次総会もAEO2022と同じテーマで開催されました。 

AEO2022では、国際社会に対し、途上国の気候変動対策を支援するために富裕な国々がコミットした年間1,000億ドルの資金提供等の約束を果たすことを呼びかけています。また、アフリカで毎年気候変動に関連する事象によって数十億ドルが損なわれていること、グリーン成長による経済的な見通しについても記載されています。 

AEO2022のテーマは、11月にエジプトで開催される国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27、通称「アフリカCOP」)とも関連しています。アフリカ大陸では気候変動に起因する災害が急増しているため、5年ぶりにアフリカでのCOP開催となります。 

プレスリリース原文(英語)はこちら。 

「アフリカ経済見通し2022年」全文(英語)はこちら。 

「アフリカ経済見通し2022年ハイライト」(英語)はこちら。 

「アフリカ経済見通し2022年ハイライト」のアジア言語(日本語、中国語、韓国語)翻訳は後日公開する予定です。

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