アフリカ開発銀行:新たな報告書はアフリカの力強い経済成長に注目 2025年はアフリカ大陸の半数近くの国で5%以上の成長率が見込まれる。世界で最も急速に経済成長する20カ国のうち、12カ国がアフリカ諸国に

 

(写真:「2025年マクロ経済パフォーマンスと展望」報告書の発表会で。前列左から右の順に、アフリカ連合のMuchanga委員、アフリカ開発銀行のUrama副総裁、アフリカ開発銀行のNwabufo副総裁、エチオピアのShide財務大臣。後列左から右の順に、国際食糧政策研究所のDr. Tafesse、アフリカ開発銀行のDunford副総裁、African Risk Capacity GroupのDr. Maruping会長。)

 

アフリカ開発銀行は、アディスアベバで開催された第38回アフリカ連合首脳会合に合わせて、「2025年マクロ経済パフォーマンスと展望 (2025 Macroeconomic Performance and Outlook (MEO))」報告書を発表しました。同報告書によると、アフリカ経済は改善の兆しを見せていますが、依然として世界的なショックに対しては脆弱となっています。同報告書では、経済改革、インフレ率の低下、財政・債務状況の改善が寄与し、2025年の実質GDP成長率は4.1%、2026年は4.4%に加速すると予測されています。一方で、アフリカ大陸は地政学的な緊張、構造的弱点、気候関連の災害、サヘルやアフリカの角における紛争の長期化といった問題を抱えており、実質的な貧困削減に必要と言われる7%の成長率を下回っていることも強調されています。

2024年のアフリカの平均実質GDP成長率は3.2%と推定され、2023年の3.0%を僅かに上回る見込みです。インフレ圧力は続いているものの、金融引き締め政策により、アフリカの平均インフレ率は2024年の18.6%から2025-2026年には12.6%に低下する見込みです。財政赤字は2023年のGDP比4.4%から2024年には4.6%へと若干拡大しましたが、2025-2026年には4.1%に縮小すると見られています。公的債務の水準は安定していますが、依然としてパンデミック前の水準を上回っており、9か国が債務ストレス下(in debt-distress)、11か国が高リスク(high risk of distress)に分類されています。

アフリカ開発銀行は、2年ごとの第1四半期と第4四半期にMEO報告書を発出しています。世界的な不確実性が高まる中でタイムリーな経済データを示し、政策立案者、開発パートナー、世界的な投資家、研究者、その他関係者にとって有益な情報を提供しています。同報告書では、ジブチ、ニジェール、ルワンダ、セネガル、南スーダン等のアフリカ24カ国が、2025年にGDP成長率5%を超えるとされています。さらに、アフリカは引き続きアジアに次ぐ世界第2位の成長地域であり、急成長する経済20か国のうち12か国がアフリカ大陸にあると予測しています。

エチオピアのShide財務大臣は、「この報告書は、当面は4%前後でとどまると予測されるアフリカの経済成長の脆弱性を浮き彫りにしている。エチオピア政府は、経済の自由化、民間セクターのエンパワーメント、財政規律を優先させ、エチオピアのマクロ経済の安定性を回復し、レジリエンスを高め、成長を加速させるための大胆な措置を講じている。」と述べ、成長と安定を維持するための積極的な政策方針の必要性を強調しました。

アフリカのレジリエンス強化

アフリカ開発銀行のNwabufo副総裁(地域開発・地域統合・ビジネスデリバリー担当)は、「複雑化する経済情勢を乗り越える中で、政策立案者はレジリエンスを強化し、持続可能な成長を推進するために、将来を見据えたアプローチを採用しなければならない。アフリカ経済の回復力と成長見通しは依然として力強いが、課題も残っている。」と述べ、アフリカ大陸が世界経済の拡大を牽引する可能性を秘めていることを強調しながらも、そのためには断固とした政策と協調が必要であるとしました。

アフリカ開発銀行のチーフエコノミスト兼副総裁(経済ガバナンス・ナレッジマネジメント担当)であるUrama副総裁は、「経済成長を促しながらインフレを管理するには、金融政策と財政政策をより調整する必要がある。」と強調しました。また、Urama副総裁は、対外的なショックや通貨下落から経済を守るために外貨準備を強化するとともに、債務不履行を防ぎ金融の安定性を高めるため、先手を打った債務再編を行うよう各国に促しました。中長期的な戦略としては、経済の変革と多様化を推進するために、統合されたインフラへの投資を増やすことが必要となります。Urama副総裁は、「規制改革や民間投資を呼び込む長期戦略を通じて、政府はビジネス環境の強化に努めなければならない。」と述べました。2025年MEO報告書には、これらの主要な政策提言が含まれています。

前進への道

2025年MEO報告書発表会に伴うパネルディスカッションでは、アフリカ大陸自由貿易協定などのイニシアティブを完全に実施することの重要性が強調されたほか、現在提案されている「アフリカ信用格付け機関」や「アフリカ金融安定メカニズム」のような新しいイニシアティブにも焦点が当てられました。モデレーターはアフリカ開発銀行のシニア・アドバイザー(コミュニケーション・渉外担当)であるDr. Oladokunが務め、African Risk Capacity Groupの会長であるDr. Marupingも参加しました。ガンビアのKeita財務大臣は、同国の財政改革と国内歳入の動員におけるアフリカ開発銀行の支援を強調しました。

アフリカ連合のMuchanga委員(貿易担当)は、「私が(アフリカの企業に)期待するのは、アフリカ全土に物流センターや倉庫を設置する案だ。アフリカの民間セクターがアフリカの海運会社の設立計画を始めることに期待したい。潜在的な可能性はあるのに、ビジネスはまだそれに応えていない。」と述べ、物流や製造業への投資拡大を含めた民間セクターによるアフリカ大陸自由貿易圏の支援を呼びかけました。

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