TICAD9:日本政府とアフリカ開発銀行、55億ドル規模の「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」第6フェーズ(EPSA6)を発表
2025/8/26
2025年8月21日、アフリカ開発銀行と国際協力機構(JICA)は、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(Enhanced Private Sector Assistance: EPSA)」第6フェーズ(EPSA6)に関する覚書(Memorandum of Understanding, MOU)を締結しました。本イニシアティブは、アフリカ諸国に対する重要な資金動員および開発パートナーシップの枠組みを提供するものです。
EPSA6の下で、アフリカ開発銀行とJICAは2026年から2028年にわたり、最大55億ドルの資金協力を行います。これは、前回のEPSA5から5億ドルの増額となります。
署名式は、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の会場である横浜にて行われ、加藤勝信財務大臣の立ち会いの下、JICAの田中明彦理事長およびアフリカ開発銀行のケビン・カリウキ副総裁(電力・エネルギー・気候・グリーン成長担当)が署名しました。
EPSAは、2005年に日本政府とアフリカ開発銀行のパートナーシップにより創設され、当行の民間セクター開発戦略の実施を支援してきました。その重点分野には「電力」「連結性」「保健」「農業・栄養」が含まれます。
田中理事長は、2005年以降のEPSAを通じた協調融資により、アフリカ開発銀行とJICAからアフリカに対し120億ドルの支援が行われたと述べました。EPSA6の55億ドルという目標額は、20年前のEPSA1の初期目標額の5倍以上にあたります。「これは私たちのパートナーシップの強まりと、共同の取り組みの重要性が一層高まっていることを反映しています」と強調しました。また、EPSA6では「レジリエンス(強靭性)」を新たな優先課題に掲げ、「気候変動だけでなく、幅広いショックへの対応に尽力していく」と述べました。
さらに田中理事長は、EPSAの歴史の半分以上にわたり尽力したアフリカ開発銀行のアデシナ総裁の貢献を称え、「彼の強いリーダーシップと支援のおかげで、EPSA5は本年末までに目標の50億ドルに到達する見込みである」と述べました。
EPSAの「ノンソブリン業務(Non-Sovereign Loans, NSL)」コンポーネントは、JICAがアフリカ開発銀行に対して低利のクレジットラインを供与し、同行の民間セクター事業を資金面で支える仕組みです。過去のEPSAにより、ウガンダのブジャガリ水力発電所、アフリカ初の汎大陸通信衛星「RASCOM」、東アフリカ海底通信ケーブルシステム、ナイジェリアのレッキ有料高速道路、ルワンダのキガリ大規模給水事業など、重要インフラが実現してきました。
「日本政府はアフリカ開発銀行の主要株主であり、アフリカ開発基金への主要拠出国の一つです。また、EPSAは当行が開発金融機関と結んでいる中で最大かつ最も長く続いている二国間パートナーシップです。日本は2005年以来、アフリカの民間セクター支援における先駆者であると私たちは認識しています」とカリウキ副総裁は述べました。さらに「日本政府およびJICAのアフリカ開発への継続的なコミットメントに敬意を表しますとともに、日本とアフリカの協力の成果を、双方にとって有益な形でさらに発展させていけると確信しています」と付け加えました。
EPSA5は2023年から2025年に実施され、2022年の第8回アフリカ開発会議(TICAD8)で発表された50億ドルの資金協力を柱としています。カリウキ副総裁は、「本日時点で共同融資40億ドルを達成しており、2025年末までにさらに16億ドル相当のプロジェクトが協調融資の最終段階にある」と述べました。
冒頭挨拶で加藤財務大臣は、「アフリカには巨大な市場拡大の機会があります」と述べ、「EPSA6が『レジリエンス(強靭性)』に重点を置くことにより、債務負担の大きいアフリカ諸国を支援するとともに、民間投資の拡大にもつながる」と強調しました。
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日本政府・アフリカ開発銀行(AfDB)共同プレスリリース(2025年8月21日)