「フィーディング・アフリカ」会議、農業改革に向けた計画を採択
2015/10/24
アフリカの農業を自立可能な農業ビジネスへと改革していくための行動計画と幅広いパートナーシップの採択――これが、10月21日から3日間、ダカール(セネガル)で行われたアフリカの農業改革に関するハイレベル会議における主要な成果である。
アフリカ開発銀行のアキンウミ・アデシナ(Akinwumi Adesina)総裁は、閉会式で「今回の会議では、アフリカに食料をもたらす(フィーディング・アフリカ)という我々の目標を達成可能とするための効果的なパートナーシップに必要なシナジーが生み出されました」と述べ、「私たちはきっと目標を達することができるでしょう。我々はアフリカに食料をもたらし、世界に食料をもたらすのです」と意欲をみせた。
会議に出席した各国の財務大臣、農業大臣、中央銀行総裁によって下された決定の一つに、栄養不良・飢餓に終止符を打つためにアフリカ全土での栄養改善プログラムを拡大することが挙げられる。
アデシナ総裁は、このプログラムには、オバマ米大統領の「フィード・ザ・フューチャー・イニシアチブ(Feed the Future Initiative)」、世界経済フォーラムの「グロー・アフリカ(Grow Africa)」、ビッグ・ウィン・フィランソロピー(Big Win Philanthropy)、世界農業機関、スケーリング・アップ・ニュートリション(Scaling Up Nutrition)、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金、栄養改善のための農業・食料システムに関するグローバル・パネルといった取り組み・機関・団体と、さらには民間部門全般との戦略的パートナーシップを確立することにより、栄養不良に対処する革新的なアプローチを展開することが含まれる、と述べた。
また今回の会議では、アフリカ開発銀行、世界銀行及び開発パートナーたちとの緊密なパートナーシップのもとで、アフリカ全土で農業生産性を向上させることを狙ったイニシアチブを主導する機関のリストが承認された。指定された機関には、アフリカ農業研究フォーラム、国際農業研究協議グループ、アフリカ緑の革命アライアンスの他、各国の農業研究システムが含まれている。
また、アフリカ開発銀行、アフリカ連合委員会、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)、国連アフリカ経済委員会、世界銀行、国際農業開発基金、国連工業開発機関は、農工業連携地区及び農業回廊の開発に向けて他の開発パートナーと緊密に協力する。その目標は、農産物の加工及び付加価値創出におけるアフリカの競争力を改善するため、統合的なインフラへの投資を加速することである。
この他の行動計画では、アフリカ農業リスク共有ファシリティを設立することにより、農業セクターへの商業金融を大幅に増大させることを目指す。
「AfDBは、パートナーと協力して、女性の農家・農業企業、その他女性の所有する企業に向けた融資として30億ドルを調達する。これは、商業銀行及びマイクロファイナンス機関による女性所有企業に対する融資のリスクを緩和する3億米ドル規模のファシリティを設立することによって実現されるだろう」とAfDB総裁は語った。
またAfDBは、アフリカ再生可能エネルギーイニシアチブの確立に向けて、アフリカ連合、アフリカ環境関連閣僚会議、国連環境計画、G7との緊密な協力により、気候変動関連の融資を3倍に拡大し、2020年までに年間50億米ドルとする。さらにAfDBは、気候変動に由来する大災害に対処するためのアフリカ・リスク・キャパシティをアフリカ諸国が利用できるよう支援する。
計画のもとで、アフリカ諸国の中央銀行は、農家が通常よりも低金利で融資を受けられるよう、また返済期間の長い長期農業ローンを利用できるよう、特別の基金を用意する。
AfDBは、アフリカの農業及び農業ビジネスに対する投資に向けた海外からの送金フローを証券化するため、農業ビジネス海外在住者債券を開発する。またプライベートエクイティファンドを通じた農業及び農業ビジネスへの融資を加速する。さらに農業セクターの長期融資ニーズ、特に必須インフラ開発をサポートするため、政府系ファンド及び年金基金を活用する。
さらにAfDBはより機能的な農業開発銀行を支援し、倉庫証券金融及び農産物取引所(特に地域農産物取引所)の設立を拡大する。
最後にAfDBは、農業に従事する若者のスキル向上を拡大し、若者のためのアフリカ農業金融ファシリティを設立することにより若手の商品作物農家及び農業従事者を支援する。
「これらは思い切った決断だ。アフリカの農業セクターを改革し、その大きな可能性を解き放つには、まさにこうした思い切った決断こそが必要とされている。我々はこの地を去るにあたって、これらの分野における行動の開始を加速することを固く約束する。我々には行動が、それも切迫感をもった行動が求められている」とアデシナ総裁は語った。
また会議の期間中、ドイツ復興金融公庫(KfW)及びアフリカ全域で活動するモバイル/デジタル決済テクノロジー会社セルラント(本社ナイロビ)は、AfDBと共にアフリカ大陸全土で農業改革アジェンダを推進することを目指す幅広い協働を発表した。
出典:Feeding Africa conference adopts plan for agricultural transformation