TICAD 8へのプレリュード:第3回日本・アフリカ ビジネスフォーラムの結果概要
2021/8/5
6月29日から7月8日まで、第3回日本・アフリカ ビジネスフォーラム(JABF 2021)をハイブリッド形式で開催しました。6日間のフォーラムには、主に日本とアフリカの官民関係者1,600人以上に参加いただきました。
このフォーラムは、アフリカ開発銀行アジア代表事務所が在京アフリカ外交団の協力を得て、日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)と共催したものです。JABF2021は「COVID-19時代に新しいアフリカを形作る」をテーマとして、アフリカ開発銀行の5つの優先分野(High 5s)である「アフリカの電化」、「アフリカの食料増産」、「アフリカの工業化」、「アフリカの地域統合」、「アフリカの人々の生活の質の向上」に関する5つのセッションとアフリカのスタートアップ企業を紹介する「スタートアップ・セッション」を6日間で実施しました。
開会セッションの基調講演で、当行のスワジ・ツァバララ上級副総裁代行は、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアチブ(EPSA)」などの例を挙げて、当行と日本との強力なパートナーシップを強調しました。また「ビジネス機会が豊富にあり、人口ボーナスを享受しているアフリカは世界経済の新しいフロンティアです」と述べ、日本の経済界に対して、本年11月に予定されている当行主催の「アフリカ投資フォーラム(Africa Investment Forum)」への参加を呼びかけました。
2022年に予定されている第8回アフリカ開発会議(TICAD8)について、米谷光司・外務省中東アフリカ局アフリカ部長がスピーチを行い、TICAD 8で取り組むことになる2つの主要なテー マに言及しました。一つは、COVID-19パンデミックを克服するための国際社会の連帯と政府の役割、もうひとつは、民間セクターの力を活用することによるアフリカのより良い回復です。米谷氏は、民間セクターの力を活用するためには、来年のTICAD 8において、官民の対話が不可欠かつ重要な要素となると述べました。
JABF2021には3つの特徴があります。第一に、各セッションにおいて、日本とアフリカの官民セクター及び国際機関から登壇者を得て、それぞれ異なる視点から各テーマに関する専門的知見を共有していただきました。第二に、5つのHigh 5sのセッションのモデレーターを全て日本人女性の専門家につとめていただきました。第三に、今回のフォーラムで初めて、アフリカで革新的なビジネスモデルを展開するスタートアップ企業を日本に紹介するセッションを設けました。このセッションは4つの共催機関(JETRO、JICA、UNDP、UNIDO)に企画運営を担っていただきました。また、今回のフォーラムでは、アフリカビジネス協議会事務局の羽田裕氏が「High 5s」の4つのセッションにコメンテーターとして参加し、日本のビジネスコミュニティの視点から、議論に貢献いただきました。
【セッション1】アフリカの電化:グリーンエネルギー:アフリカのゼロ・エミッション達成を可能にする
アフリカのエネルギー市場の特徴、グリーン・エネルギー向け投資を促進するための公的部門の役割、日本の投資家が果たすべき役割等について議論がなされました。
【セッション2】 アフリカの食料増産:フードバリューチェーン:包摂的、持続可能な、かつ強靭な食料システムの構築に向けて
アフリカの食料システムの課題、アフリカにおけるビジネス機会の可能性についての議論をおこないました。
【セッション3】 アフリカの工業化:大きく跳躍するアフリカ:イノベーションの加速、競争力の格上げ、成長の再点火
アナログ技術とデジタル技術の融合、デジタル格差の克服、研究開発投資の必要性、科学技術分野における人材開発について論じました。
【セッション4】革新の大陸・アフリカ:躍進するスタートアップ企業と共に
コロナ禍における課題を解決する革新的なビジネスモデルを展開するスタートアップ企業5社(ウガンダ、セネガル、カメルーン、チュニジア、モザンビーク)がプレゼンテーションを行い、専門家がコメントをしました。
【セッション5】 アフリカの地域統合:アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA):単一市場として、国際貿易投資の最終目的地として、アフリカの潜在性を解き放つ
民間セクターのAfCFTAへの関与、アジアの経験の活用、日本企業が現地で直面する課題、アフリカのの各地域における統合の状況等について議論しました。
【セッション6】 アフリカの人々の生活の質の向上:質の高い保健インフラ:ビルド・バック・ベター(復旧以上の復興を実現する)
ヘルスケア・サービス提供におけるジェンダーの課題、COVID-19ワクチンの国際的共同購入枠組(COVAXファシリティ)の評価等について議論しました。
来年のTICAD8の開催国としてエル―ミ駐日チュニジア大使がTICAD8の準備状況について説明しました。ンゴニャマ駐日南アフリカ大使は、閉会挨拶で、ステークホルダー間に永続的な関係を築くためには、協働と定期的な交流が必要であると述べ、JABFは「一期一会」の機会だったと評価しました。
当行の花尻卓アジア代表事務所長は、「アフリカのビジネスにはリスクがありますが、リスクは制御すべき課題であり、コインの裏面に機会があることの証左でもあります。アフリカでビジネスを行うための鍵は、優れたビジネスパートナーを見つけること、アフリカ開発銀行の支援ツールを活用することです」と述べてフォーラムを締めくくりました。
フォーラムの全てのセッションは、JABF2021ホームページにて(https://www.jabf2021.com/)アーカイブ動画を三か国語でご覧いただけます。
---------------------------------
お問合せ:アフリカ開発銀行アジア代表事務所
電話:03-4589-8721(代表)
e-mail:Tokyo.info■afdb.org *送信の際には[■]部分を@に変えてお送りください。