ウクライナ戦争の影響 アフリカ41カ国が「3つの危機」に直面(国連報告書)


●グテーレス国連事務総長が、グローバルな行動を促進するため、セネガルのサル大統領(アフリカ連合議長国)ら6カ国の首脳を指名。

国連報告書(Global Impact of War in Ukraine on Food, Energy and Finance Systems)によれば、ロシアによるウクライナ戦争により、アフリカの7割以上の国々の経済が深刻な危機に晒されていることが明らかになりました。アフリカ開発銀行は、国連専門機関や開発金融機関などと共に、食料生産を増強してアフリカ大陸への深刻な被害を回避しようとしています。

グテーレス国連事務総長は3月、自身が議長を務め、32名からなるグローバル危機対応グループ(Global Crisis Response Group)を設置しました。メンバーは国連専門機関及び国際開発金融機関の長で、当行のアデシナ総裁もメンバーの一人です。

4月13日に発表された同グループ初の報告書では、アフリカ41カ国が、この戦争によって引き起こされた3つの危機のうち、少なくとも1つに大きく晒されていると指摘されています。グテーレス事務総長は、「この戦争は、食料、エネルギー、金融という3つの危機を加速させ、世界で最も脆弱な人々、国々、経済に打撃を与えています」と警鐘を鳴らしました。

同報告書は、ウクライナにおける戦争とその影響に直接晒されている国々を支援するため、既存の全てのメカニズムを即時かつ効率的に活用することを求めています。グローバル危機対応グループが推奨する行動計画は、特にアフリカを対象としています。アフリカ諸国は迫り来る危機に対して最も脆弱だからです。

アフリカ開発銀行グループのアデシナ総裁は、緊急食料計画は、アフリカ開発銀行のアフリカ農業変革のための技術(TAAT)イニシアチブなど、既存のプログラムの成功に基づいて行われると述べています。TAATは、アフリカ29カ国の1100万人の農民に、耐干性トウモロコシ、耐熱性小麦、高収量の種子品種などの技術を提供してきました。アデシナ総裁は、アフリカ開発銀行の計画により、4000万の農家が耐熱性小麦品種、米、大豆、その他の作物の収穫量を増やすことを支援し、約2億人に食料を提供できるようになると述べ、「アフリカの食料生産を劇的に向上させるのは今だ」と語りました。

ロシアとウクライナは世界の穀倉地帯であることから、食料、エネルギー、肥料などの価格が高騰しており、世界的な不安定化リスクが高まっています。グテーレス事務総長は、「我々は危機感を持たなければならない。規制を撤廃し、買いだめをしてはならない。そして最も重要なことは、利用可能な金融手段を直ちに使用することだ」と述べています。

ロシアとウクライナは、世界の小麦と大麦の約30%、トウモロコシの5分の1、ヒマワリ油の半分以上を供給しています。同時に、ロシアは世界一の天然ガス輸出国であり、世界第2位の石油輸出国でもあります。また、ロシアとその隣国ベラルーシは、世界の肥料の約5分の1を輸出しています。

プレスリリース原文(英文)はこちらをご参照ください。

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