アデシナ総裁、G7財務大臣・国際開発金融機関会合でインフラ資金調達の道筋を提示


4月26日、米国のイエレン財務長官はG7財務大臣及び国際開発金融機関の総裁を招き、オンラインによるハイレベル・ラウンドテーブルを開催しました。この会合は、バイデン米国大統領の「より良い世界を取り戻す(Building Back a Better World)」計画に沿ったもので、インフラ向けファイナンスの拡大について、ラトルトゥ国際貿易・開発担当財務次官の司会により行われました。

アフリカ開発銀行グループのアデシナ総裁は、このラウンドテーブルで、イエレン長官とバイデン政権が、アフリカやその他の途上国にとって重要なインフラ融資を拡大するために開発資源を提供していることを評価しました。

アフリカ開発銀行はアフリカのインフラ整備を担う第一の金融機関として、過去6年間だけでも、交通、エネルギー、水と衛生等の重要な分野で、アフリカ大陸全体のインフラ整備に440億ドル以上を投じてきましたが、このような努力にもかかわらず、アフリカでは毎年680億ドルから1,080億ドルのインフラ資金の不足に直面しているとアデシナ総裁は述べました。

そこで、アデシナ総裁は、アフリカのインフラ資金ギャップを埋めるため、以下の8つの解決策を提案しました。

 

1.プロジェクトの準備

銀行融資可能な(bankable)インフラプロジェクトを開発するためには、プロジェクト準備ファシリティが不可欠です。アデシナ総裁は、アフリカ諸国が官民双方から投資を呼び込めるような質の高いプロジェクト準備を支援するために設立されたNEPADインフラプロジェクト準備ファシリティを紹介しました。

2.機関投資家の動員

年金基金、政府系ファンド、保険会社などの機関投資家は、商業銀行と合わせて103兆ドルの運用資産を保有しています。アデシナ総裁は、「アフリカのインフラ資金ギャップを埋めるために必要な資金は、この0.03~0.04%程度にすぎない」と指摘しました。

3.インフラ向け公的融資の改善

競争力のある調達プロセス、質の高いプロジェクト設計、タイムリーな実行、より良いメンテナンスを推進する必要があります。

4.民間セクターの呼び込み

インフラ向けの官民パートナーシップ(PPP)投資を支援するため、政策、法律、規制環境を改善する必要があります。アフリカ開発銀行はインフラ向けファイナンスのための新たなPPP枠組を承認しました。

5.グリーン・インフラへの資金調達

世界のグリーンボンドに占めるアフリカのシェアはわずか0.4%に過ぎません。アフリカ開発銀行は開発パートナーと協力し、アフリカにおけるグリーン・インフラストラクチャーのためのアライアンスを立ち上げます。アフリカ開発銀行の「公正なエネルギー転換ファシリティ(Just Energy Transition Facility)」は、アフリカのために追加的な気候変動向け資金を調達する機会を提供します。

6.リスクへの対処

部分リスク保証及び部分信用保証を用いたリスク軽減に更に注力する必要があります。

7.国際開発金融機関(MDBs)のバランスシートの拡大

MDBsはインフラ向け融資のためにバランスシートを拡大する必要があります。アフリカ開発銀行は、民間セクター関連のポートフォリオ・リスクを民間に移転する、10億ドルのシンセティック証券化を開始しています。

8.現地通貨によるインフラ資金調達

大部分のインフラの海外からの融資で賄われていますが、現地通貨で融資することにより、より多くのことが達成できます。債務の持続可能性にも貢献します。

 

イエレン財務長官は、緊急に対応しなければならない危機に直面しても、インフラのような長期的な問題への関心を失わないことが重要であり、インフラ投資への長期的なコミットメントは、成長を促し、ひいては貧困を削減し、より安定した世界経済を育むための最も信頼できる手段の一つであると述べました。

プレスリリース全文(英語)はこちらをご参照ください。

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