開発効果年次報告書2023年版の公表
2023/6/1
5月25日、アフリカ開発銀行(AfDB)は、アフリカの開発に関する当行の貢献を評価する「開発効果年次報告書(Annual Development Effectiveness Review:ADER)」の2023年版を発表しました。
開発効果年次報告書は2011年から毎年発行しており、特にAfDBの最優先分野であるHigh 5s(ハイ・ファイブス)①アフリカの電化 ②食料増産 ③工業化 ④地域統合 ⑤生活の質の向上、における活動成果を評価分析するものです。
「Enhancing Africa’s Resilience (アフリカの回復力の強化)」と題した開発効果年次報告書2023年版は、アフリカの複合的危機の影響について考察しています。2022年は厳しい状況においても、AfDBはHigh 5sの分野で高い開発成果をもたらしました。1,230万人が水・衛生設備にアクセスできるようになり、AfDBの民間向け投融資による裨益者は400万人以上に昇ります。また、アフリカの経済発展と連結性を支援するため、AfDBは計833㎞の道路の建設や修復を行いました。
2022年の投資額は82億ドルに達し、COVID-19前の水準に戻りつつあると報告されています。
しかしながら、グローバル経済の成長の鈍化、世界的な食糧危機、気候変動による異常気象は、COVID-19のパンデミック以前は好調な経済成長を続けてきたアフリカに深刻な景気後退をもたらしました。ロシアによるウクライナ侵攻(※)によりアフリカ全体を更なる危機に直面し、食料やエネルギーのサプライチェーンが混乱し、急激な価格上昇を招きました。 その結果、更に1,500万人の人々が極度の貧困状態に陥っています。
COVID-19からの経済回復が遅々として進まない中、AfDBのActing Director of the Development Impact and Results DepartmentのArmand Nzeyimana氏は、気候変動はアフリカの脅威の1つであると指摘しています。
“世界で最も脆弱な10カ国のうち9カ国がアフリカにあり、アフリカは世界で最も気候変動の影響を受け易い地域である。気候変動がアフリカに与える深刻な悪影響を対処するための努力を最優先させることは喫緊の課題である。”と強調しております。
本報告書によると、脆弱性や紛争、気候変動、貧困問題は、今後もアフリカに深刻な影響をもたらすため、アフリカが将来の危機に対応できるより高い回復力を構築するために、能力、資源、制度を更に強化する必要があります。
AfDBは、業務の効率性と有効性を強化する目標の1つとして、透明性と説明責任の向上に取り組んでおり、開発援助の透明性向上のためにグローバルな取り組みを行う独立系非営利組織「Publish What You Fund」は援助透明性指数(Aid Transparency Index)2022において、AfDBのソブリン・ポートフォリオを世界50の開発援助機関の中で最も透明性が高いと評価しました(リンク先は外部です)。
2023年はAfDBの戦略的方向性と優先順位の指針となる新しい10ヵ年戦略を策定する年です。2022年には、アフリカ開発基金(African Development Fund)に資金補充がなされ、AfDBはアフリカの優先課題と持続可能な開発目標(SDGs)の達成を強化・支援するための資金調達を拡大する取り組みを推進します。
本報告書においてアデシナ総裁は、“アフリカが開発目標を達成するためには、私たちは野心を高める必要があります。AfDBの新しい10ヵ年戦略は、インクルーシブで気候変動に強靭な開発を促進・加速させるための指針となり、High 5sとSDGs達成を現実のものとするための取り組みを継続する。"と述べています。
(※)“Russia’s invasion of Ukraine”. Algeria, China, Egypt, Eswatini, Namibia, Nigeria and South Africa entered a reservation and proposed “Russia-Ukraine Conflict”(2022年アフリカ開発銀行年次総会で合意された呼称。なお、アルジェリア、中国、エジプト、エスワティニ、ナミビア、ナイジェリア及び南アフリカは、当該表現に留保を表明、“ロシア・ウクライナ紛争”との呼称を提案した。)
プレスリリース原文はこちらをご覧ください。(英語)
「開発効果年次報告書」2023年版はこちら(英語)からダウンロードが可能です。