「アフリカ経済見通し2023」の発表:Mobilizing Private Sector Financing for Climate and Green Growth in Africa(アフリカにおける気候変動とグリーン成長のための民間セクターファイナンスの動員)

アフリカ開発銀行(AfDB)は524日、「アフリカ経済見通し2023African Economic Outlook: AEO」を発表しました。アフリカ諸国はCOVID-19パンデミックの影響、ロシアによるウクライナ侵攻(※)の長期化に伴う世界のサプライチェーンの混乱、世界の金融引き締めなどの複合的危機に直面しており、これらの影響により、アフリカの実質GDP成長率は2021年の4.8%から2022年は3.8%に低下しました。しかし、アフリカ経済には回復する力を維持しているため、2023-24年の平均成長率は4.1%と予測されています。

成長見通しは、1)アフリカの輸出を圧迫する世界経済の成長の鈍化、債務返済コストを悪化させる世界的な金融引き締めの継続、2)財政圧力を悪化させる異常気象の頻発による大きな損失と損害、3)世界的な不確定要素を高めるロシアによるウクライナ侵攻(※)の長期化、4)グローバルサプライチェーンの継続的な混乱など、さまざまな下方リスクを抱えています。また、一部の国では国政選挙が予定されているため、地政学的リスクが高まっていることも要因として挙げられます。

AEO2023は、アフリカの包括的かつ持続可能な開発のため気候変動対策とグリーン成長への移行(Green Transition)を迅速に進めることが急務であると強調しております。アフリカ各国の最新の「国が決定する貢献(Nationally Determined ContributionNDC)」に基づくAfDBの新しい調査によると、年間2,134億ドルと見積られているアフリカの気候変動対策の資金不足を埋めるには、2030年までに民間セクターからの資金を毎年36%増加する必要があると試算しています。これは、2020年から2030年の間に28,000億ドル(年間2,500億ドル)が必要と見込まれているアフリカの気候変動対策の資金不足に対応するために重要です。民間セクターからの気候変動資金を引き出すには、需要及び供給サイドの両方の障壁に対処するとともに、気候変動とグリーン成長における膨大な投資機会を呼び込むための革新的な金融商品を開発する必要があります。

また、AEO2023では、気候変動対策の資金不足を埋め、グリーン成長の移行を促進するうえで、2018年に6.2兆ドル相当と評されたアフリカの莫大な自然資本(natural capital)が重要な役割を果たすと強調しています。持続可能な管理を通して、アフリカの豊富な自然資本は、気候変動の適応策と緩和策のための資金を補完する金融資産や、グリーン成長の移行を支援する投資へと転換することができます。そのためには、アフリカの自然資本の真の価値をよく理解し、ローカルコンテンツと付加価値を強化するために、財政手段を含む適切な政策と手段を展開することが必要と述べています。

(※)“Russias invasion of Ukraine. Algeria, China, Egypt, Eswatini, Namibia, Nigeria and South Africa entered a reservation and proposed Russia-Ukraine Conflict”(2022年アフリカ開発銀行年次総会で合意された呼称。なお、アルジェリア、中国、エジプト、エスワティニ、ナミビア、ナイジェリア及び南アフリカは、当該表現に留保を表明、“ロシア・ウクライナ紛争”との呼称を提案した

 

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ケビン・チカ・ウラマ(Kevin Chika Urama)チーフエコノミスト代理兼副総裁 AEOイベントでのスピーチ原稿 日本語 英語

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