アフリカ投資フォーラム「ジャパン・スペシャル・ルーム」:日本とアフリカ開発銀行、アフリカにおける民間投資促進に向けてパートナーシップを深化
2026/1/7

日本とアフリカ開発銀行(AfDB)は、2025年11月にモロッコ・ラバトで開催されたアフリカ投資フォーラム(AIF)2025マーケットデイズにおいて協力関係を一層強化し、アフリカの経済成長に向けた民間資本動員を目的とする「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)」の下でのコミットメントを改めて確認しました。
AIF 2025マーケットデイズのサイドイベントとして開催された「ジャパン・スペシャル・ルーム」には、スタートアップ企業、商社、金融機関、開発パートナーなど約200名の関係者が参加し、民間資本の動員およびアフリカをグローバル・バリューチェーンに統合することをテーマに、2つのハイレベル・セッションが実施されました。
開会にあたり、アフリカ開発銀行グループのシディ・ウルド・タハ総裁は、日本とアフリカのパートナーシップがアフリカの資金調達ギャップ解消に果たす重要な役割を強調しました。「アフリカは急速な成長を遂げており、その潜在力は計り知れない。しかし、その潜在力を引き出すためには、強固なパートナーシップと革新的な資金調達が不可欠である」と述べ、アフリカ開発銀行の支援を受けて実施された、豊田通商および富士電機が参画したケニアのメネンガイ地熱発電所や、NECが実施したコートジボワール農業成長プログラムを具体例として挙げました。
タハ総裁はさらに、「これらは、アフリカの機会、日本の強み、そしてアフリカ開発銀行の触媒的な金融支援を組み合わせることで、具体的な成果が生み出されることを示す実証例である」と述べました。
国際協力機構(JICA)の本図繁生氏は、現在第5フェーズにあるEPSAが2025年に50億ドルの目標達成を見込んでいることを説明するとともに、2026年から2028年を対象とするEPSA6では、コミットメントを55億ドルに拡大する方針であると述べました。あわせて、金融包摂、グリーン成長、食料安全保障、保健医療の推進を目的とし、15億ドル規模を目標とする新たなイニシアティブ「アフリカ・インパクト投資イニシアティブ(IDEA)」を紹介しました。
EPSAのコンポーネントの一つであるアフリカ民間セクター向け支援基金(FAPA)については、アフリカ開発銀行のハサトゥ・ジョップ・ンセレ財務担当副総裁兼CFOが、技術支援を通じてプロジェクトのリスク低減を図り、これまでに累計約300億ドルの取引価値を創出してきたと説明しました。FAPA支援案件は5億〜10億ドル規模の投資ポテンシャルを創出しており、企業レベルでは200社以上を支援し、1万5,000人を超える人材育成に貢献しています。
財務省の長谷川実氏は、「アフリカ進出を検討する日本企業にとって、FAPAは実践的かつ非常に有効なツールである。日本は、企業活動の拡大支援とアフリカの持続可能な成長への貢献に引き続き強くコミットしている」と述べました。また、「アフリカの産業をグローバル・バリューチェーンに統合することは、大陸の長期的成長のみならず、世界経済の健全な発展にとっても不可欠である」と述べ、日本の経験とノウハウの活用可能性に言及しました。
セッション1では、アフリカの開発課題に対応する日本企業の革新的なソリューションが紹介されました。NEC株式会社の宮脇和彦氏は、コートジボワールにおけるデジタル農業ソリューションを紹介し、種子および肥料の最適配分や衛星データを活用した作物モニタリングを通じて、農業生産性と効率性の向上に貢献していることを説明しました。
COTS COTSの宮下芙美子氏は、FAPAの支援を受けて準備が進められているウガンダのコットン・バリューチェーン開発プロジェクトを紹介し、現地産業の高度化と付加価値創出を目指す取組について説明しました。SOIKの古田国之氏は、医療アクセスが限定的な地域を対象としたAI活用のスマートフォン型母子保健ソリューションを紹介し、同ソリューションがコンゴ民主共和国を含む4か国ですでに導入され、妊産婦死亡率の低減に寄与していることを報告しました。
SORA Technologyの金子洋介氏は、マラリア対策や農薬散布など、農業・保健分野におけるドローンおよびAIの活用事例を紹介し、これらのプロジェクトがFAPAの支援の下、事業化に向けた準備段階にあることを説明しました。さらに、Double Feather Partnersの武藤公平氏は、日本とアフリカをつなぐベンチャーキャピタルおよびアドバイザリーの取組を紹介し、ブレンデッド・ファイナンス型モビリティ・ファンドの組成準備や、FAPAと連携した技術支援ファシリティの共同開発について言及しました。Space Shiftの多田玉青氏は、衛星データとAIを活用した分析により、透明性の高い情報提供を通じて事業効率を高め、投資リスクの低減を可能にする取組を紹介しました。
セッション2では、インフラ、重要鉱物、農業分野を中心に、アフリカのグローバル・バリューチェーン統合を加速させるための協調融資、信用補完、ブレンデッド・ファイナンスについて活発な議論が行われました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友銀行(SMBC)、みずほ銀行、日本貿易保険(NEXI)、国際協力銀行(JBIC)など、日本の主要金融機関の代表者が登壇し、リスク軽減策や輸出信用、ブレンデッド・ファイナンスを通じて数十億ドル規模の資金を動員してきた経験を共有しました。
NEXIの秋田祐一郎氏は、政治リスク保険や輸出信用が、アフリカの鉱業およびインフラ分野への日本投資を支える上で果たす役割が拡大していると強調しました。秋田氏は、アフリカ各国政府が資源開発のみならず、港湾、鉄道、貿易回廊といった関連インフラ分野でも、外国とのパートナーシップに一層前向きになっていると指摘しました。
「規模もリスクも単一機関で担えるものではない。協力は不可欠である」と述べ、マダガスカル、ナカラ回廊、ナミビアおよびアンゴラの港湾事業におけるNEXIによる支援案件を例に挙げました。
MUFGのライサ・ベリアール氏は、特にインフラ分野において、大規模資本を動員するためにブレンデッド・ファイナンスや信用補完型スキームが不可欠になっていると述べました。MUFGが緑の気候基金(GCF)とともに関与するGAIA気候ローンファンドやGreen Guarantee Company(GGC)など、革新的な気候金融プラットフォームを紹介しました。
SMBCのニスリン・アブエレズ氏は、日本の銀行が債券発行や貿易金融の経験を活かし、アフリカの政府や国際機関との協力を拡大していると述べました。SMBCは、エジプト、コートジボワール、アフリカ輸出入銀行(Afreximbank)向けに、JICA保証付きのサムライ債、シンジケートローン、ブレンデッド金融商品を組成してきました。「過去3〜4年だけで、日本の個人投資家を含む約30億ドルをアフリカ関連商品に動員した」と述べ、日本関連資金フローが現在では100億ドルを超えていることを明らかにしました。
アフリカ開発銀行のアハメド・ラシャド・アトゥット金融セクター開発局長は、FAPAを通じた日本の長年の支援やアフリカ開発基金への拠出を高く評価しました。また、ベナン、コートジボワール、エジプト、トーゴ向けに40億ドル超のサステナビリティ連動債・融資を支えてきた部分信用保証(PCG)の活用拡大や、中小企業、女性経営企業、農家、若者向けにアフリカの商業銀行が発行する現地通貨建て債券のアンカー投資の取り組みを紹介しました。
一方で同氏は、資金だけでは構造転換は実現できないとし、「法の支配、強固な規制当局、健全な政策枠組みがなければ、持続可能な投資は成り立たない。資本は政策改革と並行して動かなければならない」と述べました。
JBICの天野辰之氏は、アフリカが高付加価値産業を通じてサプライチェーンに統合される必要性を強調し、そのためにはインフラ整備と技術導入による効率向上が不可欠であり、JBICとしてこれらの取り組みを支援する用意があると述べました。
海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の鈴木彰一氏は、出資とハンズオン支援を組み合わせて日本企業の海外インフラ事業参画を支援するJOINの役割を紹介し、投資実績、対象分野の多様性、投資判断の主要基準について説明しました。
みずほ銀行のグイド・チコラーニ氏は、他の金融機関との連携により、アフリカ市場全体で包括的な金融サービスを提供できる点を強調しました。ストラクチャードファイナンスの専門性とグローバルネットワークを活用し、信用商品に加えて金融情報や情報ネットワークを提供することで、アフリカの持続可能な成長を支援していくと述べました。
&Capitaの佐藤哲氏は、日本企業とアフリカ企業が相互の適合性を考慮しながら協業することで、アフリカのスタートアップをグローバル・バリューチェーンに組み込み、企業価値の向上につなげる可能性を示しました。
アフリカ開発銀行のソロモン・クエノー民間部門・インフラ・工業化担当副総裁 は、急速な経済成長、若年層中心の消費市場、広大な耕作可能地、エネルギー転換に不可欠な重要鉱物資源を背景としたアフリカの高い投資魅力を強調しました。「アフリカがグローバル・バリューチェーンに統合されるためには、年間少なくとも1兆3,000億ドルの巨額投資が必要であり、アフリカ開発銀行はパートナーと連携して資本動員と投資環境整備を進めていく」と述べました。
内閣官房海外ビジネス投資支援室(GBIS)の高村泰夫氏は、「本日のセッションは、具体的な行動とパートナーシップを通じてアフリカの潜在力を引き出すという我々のコミットメントを再確認するものとなった。TICADの基本原則である『アフリカのオーナーシップ』『国際社会によるパートナーシップ』『開放性』に基づき、今後もアフリカ諸国の持続可能な発展を支援していく」と述べ、会合を締めくくりました。
AIF2025を通じて、アフリカの投資見通しに対する強い信頼が示されました。日本とアフリカ開発銀行の協力が深化する中、関係者は、このパートナーシップが民間資本の一層の動員とアフリカのグローバル・バリューチェーン統合を推進する上で極めて有効であるとの認識を共有しました。ジャパン・スペシャル・ルームは、アフリカの次なる成長段階に向けた共通の決意を示す場として、AIF2025を前向きに締めくくる場となりました。
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