アフリカ、重要鉱物を産業化と経済変革の原動力に
2026/7/20

アフリカの重要鉱物を活用した産業化と経済変革の実現に向け、「重要鉱物・バリューチェーン・ベネフィシエーション(高付加価値化)に関する閣僚フォーラム」が、2026年7月10日、コートジボワールのアビジャンで開催されました。
アフリカ開発銀行グループが主催した同フォーラムには、アフリカ各国の鉱業、エネルギー、産業、天然資源、グリーン経済担当閣僚をはじめ、アフリカ連合委員会、国連アフリカ経済委員会(UNECA)、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)事務局、地域開発銀行、民間セクター、開発パートナーなどが参加しました。
また、UNECAのハナン・モルシー副事務局長、米国財務省のジェレミー・ウィギンズ国際担当副長官に加え、日本からは財務省国際局の細田修一審議官が出席しました。
フォーラムでは、アフリカが保有する豊富な重要鉱物資源を、単なる原材料輸出にとどめるのではなく、域内での加工・精製や製造業の発展につなげ、経済成長や、とりわけ若年層や女性の雇用創出の原動力として活用していく方策について議論が行われました。
アフリカには、コバルト、リチウム、黒鉛(グラファイト)、レアアース、白金族金属、銅、マンガン、ニッケルなど、世界の重要鉱物埋蔵量の約30%が存在するとされています。しかし、多くの鉱物は依然として未加工のまま輸出されており、自らの資源が生み出す経済的価値のごく一部しか取り込めていません。この状況により、雇用創出や産業基盤の形成、技術・ノウハウの蓄積の多くが域外で進められています。また、各国が個別に取り組むことで市場が分断され、世界の鉱業バリューチェーンにおけるアフリカの交渉力や戦略的影響力も十分に発揮できていない状況です。
参加者は、重要鉱物の域内加工を促進するためには、エネルギーや輸送インフラへの投資、地質資源に関する知見の充実、一貫性のある政策の整備、投資を促進する規制環境の構築、天然資源ガバナンスの強化が必要であると強調しました。また、鉱物資源、エネルギーシステム、輸送回廊、港湾、工業団地、人材、資金、市場を地域レベルで結び付ける地域協力を通じて、統合的で競争力のあるアフリカの生産体制を構築していく重要性が確認されました。
フォーラムを主催したアフリカ開発銀行グループのシディ・ウルド・タハ総裁は、アフリカが資源をより効果的に管理し、その利益を国民に還元するためには、従来の枠組みを転換し、新たなパートナーシップを構築する必要があると述べました。
また、コートジボワールのママドゥ・サンガフォワ・クリバリ鉱業・石油・エネルギー相は、フォーラム宣言を読み上げ、「アフリカは重要鉱物を産業変革の原動力とする準備ができている」と強調しました。
UNECAのモルシー副事務局長は、世界が重要鉱物を基盤とする新たな時代に入る中で、アフリカには大きな機会があると指摘した上で、その機会を成果につなげるためには戦略的な取り組みが不可欠だと強調しました。さらに、各国が個別に競争するのではなく、アフリカ大陸自由貿易圏の下で、それぞれの比較優位を生かした統合的なバリューチェーンを構築することが重要との考えを示しました。
米国財務省のウィギンズ副長官は、アフリカには21世紀を代表する産業成長地域となる潜在力があると述べる一方、その実現には透明性、予見可能性、適切な規制といった良好なガバナンスが不可欠であると指摘しました。
日本財務省の細田審議官は、タハ総裁の力強いリーダーシップと、アフリカ各国政府の積極的な取組を高く評価する一方、日本は、各国のオーナーシップを重視するアフリカ開発銀行の戦略を支持するとともに、関係者の皆様と連携しながら、持続可能な投資の促進と付加価値向上を通じて、アフリカの重要鉱物資源が包摂的かつ持続的な発展につながるよう貢献すると強調しました。
フォーラム参加者はこのほか、アフリカにおける連携の強化、技術移転、人材育成、サプライチェーンの透明性・トレーサビリティ向上の重要性を確認しました。また、アフリカ開発銀行グループが、新アフリカ開発金融アーキテクチャ(NAFAD)の枠組みの下で、事業化可能なプロジェクトの形成支援やリスク低減、インフラ整備への資金供給、民間投資の動員などを通じて、競争力のある持続可能な重要鉱物バリューチェーンの構築を後押しする役割を果たすべきだと強調しました。
アフリカ開発銀行グループは今後も、大規模な資金動員や域内で育成可能なバリューチェーン分野の特定、制度改革やインフラ整備、プロジェクト形成に向けた各国の取り組みを支援することで、重要鉱物の高付加価値化と産業発展を後押ししていく考えです。
世界的に重要鉱物への需要が高まる中、アフリカは豊富な資源をてこに、資源輸出中心の経済構造から、高付加価値な製造・産業活動を伴う成長モデルへの転換を目指しています。こうした動きは、アフリカとの投資・貿易・技術協力の拡大を検討する日本企業や関係機関にとっても注目すべき動向となっています。
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