2022年の経済見通し
アフリカの経済動向と見通し
アフリカの実質国内総生産(GDP)の成長率は、長引くCOVID-19のパンデミック及びロシア・ウクライナ紛争の勃発に大きく影響され、2021年の6.9%から2022年には4.1%に減速すると予想されます。これらのショックにもかかわらず、需要面では民間消費と投資が引き続き成長の主軸となる一方、供給面では金属価格の高騰を背景に鉱業を中心とした工業が後押して、サービス業が成長を牽引する見込みです。パンデミックとロシア・ウクライナ紛争がさらに長引く場合、2023年のアフリカの経済成長は4%程度の横ばいで推移すると予想されます。
実質経済成長率(2019-2023年) 地域別経済成長率の推移(2020-2023年)
ワクチンの確保及び迅速な接種を促し、国内のエネルギー価格及び食料価格を安定させ、債務の脆弱性に対処し、社会的弱者の家計と企業を支援するための諸政策を組み合わせることは、COVID-19後の経済回復を後押しし、ロシア・ウクライナ紛争による経済的影響を緩和するために非常に重要となります。
アフリカにおける気候レジリエンスと公正なエネルギー転換
アフリカ経済見通し2022年版(AEO 2022)のテーマである「アフリカにおける気候レジリエンスと公正なエネルギー転換の支援」は、アフリカ大陸における気候変動の甚大な影響と気候変動の脆弱性に対処し、2050年までにネットゼロ排出に移行するためのイノベーションに富んだ資金調達手法を早急に見出し、活用することが必要であるとしています。
アフリカ開発銀行の炭素負債とクレジットに関する最新の研究によれば、過去と将来の排出量を基にすると、2050年までにアフリカが受けるべき気候変動資金の補償総額は4兆7,600億ドル~4兆8,400億ドルとなり、これを2022年から2050年までの年換算にすると年間1,634億ドル~1,730億ドルとなります。これは2016年から2019年までにアフリカが毎年受け取った資金のほぼ10倍に相当するとされています。この結果、アフリカが本来受け取るべき気候変動資金とのギャップを従来の資金調達手法でまかなうことは困難であり、イノベーションに富んだ手法と地域的・世界的に強固な協力体制が必要とされています。
気候変動適応に必要な資金と国際社会からの支援(2020-2030年)
気候変動資金ギャップに対処するための重要な政策提言としては、グリーンボンド及びグリーン・ローン、サステナビリティ・ボンドまたはサステナビリティ連動ボンド及びローン、デット・フォー・クライメート・スワップ、あるいは、より効率的で適正な価格付けがされる炭素市場への参加などのイノベーションに富んだ資金調達手法を活用することを挙げています。さらに、国際社会、特に先進諸国は、気候変動資金へのコミットメントを1,000億ドル以上に拡大することを検討する必要があります。この追加資金は、アフリカやその他の開発途上地域における気候変動の真の機会費用を反映する必要があります。
グリーン・ファイナンスの状況:先進国中心であり、アフリカでは未発達(2017-2021年)
AEO2022で述べているように、アフリカ諸国には果たすべき役割があります。アフリカ諸国は、ビジネスやマクロ経済、そして金融の各分野において、より多くの気候変動資金を調達する環境を整える必要があります。必要な変革は、公的財務管理などの国内金融システム、気候変動資金プロジェクトの効果的な管理、国内の能力構築、そしてイノベーションに富んだ国内資金動員手法など、広範囲におよびます。
出所:「アフリカ経済見通し(AEO: African Economic Outlook )」2022年版より
「アフリカ経済見通し2022年版」は下記をご参照ください。