TICAD9:大学はアフリカ開発の重要パートナー — アフリカ開発銀行が東京大学で講演
2025/8/28

左から、プレトリア大学 経済経営学部長 マーガレット・チギタ=マブグ教授、アフリカ開発銀行 地域開発・地域統合・ビジネスデリバリー担当副総裁 ネナ・ンワブフォ氏、東京大学総長 藤井輝夫氏、東京大学公共政策大学院(GraSPP)院長 川口大司教授
アフリカ開発銀行(AfDB)のネナ・ンワブフォ副総裁(地域開発・地域統合・ビジネスデリバリー担当)は、2025年8月23日(土)に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のパートナー事業として行われたシンポジウムで講演しました。本イベントは東京大学が主催し、プレトリア大学およびアフリカ開発銀行との共催で行われました。
シンポジウム「From Campus to Community — University Collaboration between Africa and Japan for Real-World Change」では、アフリカとアジアの学術的パートナーシップが、共同創造や発展の新たな機会を生み出す可能性について議論されました。
ンワブフォ副総裁は基調講演で、アフリカの開発において、大学は欠かせないパートナーであり、アフリカ開発銀行は、大学をイノベーションの中心として、銀行の資金のみならず民間投資やベンチャーキャピタルも呼び込める存在として支援していくと述べました。
さらに、「アフリカ開発銀行は、大学を単なる学びの場としてだけでなく、イノベーションの推進者、起業精神の原動力、社会変革の触媒としての重要なパートナーと見ています」「アフリカの未来は、知識を生み出すだけでなく、変革の主体として行動できる強く自立した大学にかかっている」と強調しました。
東京大学総長の藤井輝夫氏とプレトリア大学学長のフランシス・ピーターセン氏(後者の講演は、プレトリア大学 経済経営学部長のマーガレット・チギタ=マブグ教授が代読)は、多様な声や革新的パートナーシップ、アフリカ–日本協力がもたらす社会的影響を通じた協働の重要性を強調しました。
プレトリア大学のフランス・スワネポール教授は、若年層が多い大陸におけるスキル開発の必要性を強調し、「教育は起業家として何を成し遂げるかを決定づける要素です」と述べました。
また、アフリカ開発銀行 教育・人材・雇用ディビジョンマネージャーのヘンドリナ・ドロバ氏は、若者とイノベーションのための大学パートナーシップ推進の具体例を紹介しました。その中でも特に成功しているのが「Japan Africa Dream Scholarship(JADS)」です。
Japan Africa Dream Scholarshipは、アフリカ開発銀行と日本政府による能力開発プログラムで、2017年に開始されました。優秀なアフリカの学生に対し、エネルギー、農業、医療、環境持続可能性、工学分野の修士課程で2年間の奨学金を提供しています。これまでに41名が全額奨学金を受給しており、そのうち27名は日本の大学、14名はアフリカのパートナー大学で学んでいます。
ガーナ出身で同奨学金を受給したメアリー・イェボア・アサンテワ氏は、この奨学金によりキャリアの道が開かれ、現在はヘルスケア分野で革新的なドローン技術を用いてマラリア対策に取り組んでいることを紹介しました。
ンワブフォ副総裁は、「東京大学もこのプログラムのパートナーであることを嬉しく思います。アフリカと日本の大学間のパートナーシップは、長期的な協力関係を強化する確かな方法です。今日のアフリカの研修生が、明日のリーダーになるのです」と述べました。
大学教育とスキル開発を最優先に
アフリカ開発銀行は、大学の潜在力を活かすため、以下の5つの分野で取り組みを進めています。
- 大学の投資プログラムへの統合 — 高等教育機関を国の開発・工業化プロジェクトに組み込み、アフリカ開発銀行の支援を受けながら地域開発に貢献。
- スキル・イノベーションエコシステムへの資金提供
- 大学–産業界パートナーシップの促進 — 大学が知識の生産者であるだけでなく、民間企業との共同創造者として機能。
- 大学内の起業ハブ・テクノロジーパーク支援
- 知識共有プラットフォームの提供 — 大学がイノベーションを披露し、投資を呼び込む仕組みの構築。
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