モザンビークのLNGプロジェクトおよびアフリカの公正なエネルギー移行に対するAfDBの支援

アフリカのエネルギー移行には、差し迫った開発ニーズと長期的な気候目標の両立が不可欠です。開発途上国が排出量のピークに達するまでにより長い時間を要することを認めたパリ協定第4条の考え方に沿い、アフリカ開発銀行(AfDB)は、天然ガスを移行期のエネルギー源として戦略的に活用することを支持しています。

このアプローチにより、アフリカ各国はエネルギーアクセスを拡大し、産業化を加速させ、その後得られる収益を再生可能エネルギー分野へ再投資することが可能となります。モザンビークの2つの主要LNG案件―モザンビークLNGエリア1プロジェクトおよびコーラル・ノース浮体式LNG(FLNG:Floating LNG)プロジェクト―は、この戦略を具体化する代表例です。(Climate Change and Green Growth at the African Development Bank: Annual Report 2024,  P65参照)

2026年1月29日、トタルエナジーズは、モザンビークLNGエリア1プロジェクトにおける陸上・海上すべての活動を全面的に再開したと発表しました。同プロジェクトは、カーボデルガード州における治安上の課題により一時中断していましたが、治安の改善とモザンビーク政府およびコンソーシアムとの協力強化を受け、アフンギ拠点での事業が再開されました。

現在、3,000人以上のモザンビーク人を含む4,000人超の作業員が従事しています。工事進捗率は約40%で、2029年の初回LNG生産開始を目指し、計画通り進んでいます。

AfDBは本プロジェクトに対し、4億米ドルの融資を提供する主要シニアレンダーの一つです。日本の三井物産、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が主要出資者として参画しているほか、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)など日本の関係機関も、融資や保険等を通じて関与してきました。これは、エネルギー安全保障と経済成長を軸とするアジア・アフリカ間の長年の協力関係を体現するものです。

AfDBの支援は、将来的にモザンビークへ大きな経済効果と長期的な財政収入をもたらすと期待される本事業に、開発金融としての安定性を提供しています。

エリア1に続き、AfDBは2026年1月14日、エニ(ENI)が主導するコーラル・ノースFLNGプロジェクトに対し、1億5,000万米ドルのシニアローンを承認しました。

本プロジェクトは沖合約55キロに位置し、年間355万トンの生産能力を有するFLNG設備を開発・運営するものです。2022年に操業を開始したコーラル・サウスFLNGの成功を基盤とする総額70億米ドル規模の事業であり、プロジェクト期間中に200億米ドル超の財政収入を生み出すと見込まれています。また、建設・操業段階で大規模な雇用創出も期待されています。

さらに本案件は、南部アフリカ開発共同体(SADC)域内へのLNG供給、ガス火力発電、産業振興、そして国内におけるクリーンクッキングへのアクセス拡大にも貢献します。

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これらのプロジェクトは、天然ガスがアフリカにおいて現実的な移行期エネルギー源となり得ることを示しています。依然として多くの家庭が調理用燃料としてバイオマスに依存し、安定的な電力供給も十分とは言えない状況の中で、天然ガスはよりクリーンで手頃な選択肢を提供します。

LNG輸出から得られる収益は国家財政を強化し、将来的には気候変動に強いインフラや再生可能エネルギーへの投資拡大を可能にします。

AfDBはまた、国際的な気候交渉において、アフリカが「特別なニーズと特別な状況」を有することの認識を一貫して訴えています。アフリカは世界全体の排出量への寄与が小さい一方で、気候変動の影響を最も強く受け、適応能力の制約や高い資金調達コストに直面しています。

さらに、アフリカは森林や泥炭地、マングローブなど、大きな炭素吸収ポテンシャルも有しています。こうした現実は、各国が経済発展を進めながら段階的に排出削減を実現していくための、柔軟で差別化された移行経路の必要性を裏付けています。

モザンビークLNGエリア1およびコーラル・ノースFLNGへの支援を通じ、AfDBは開発を基軸とした現実的なエネルギー移行を推進しています。これらのプロジェクトはエネルギー安全保障を強化し、包摂的成長を促進し、将来の再生可能エネルギー拡大への基盤を築くものです。アフリカが持続可能で気候変動に強い未来へと歩む上で、重要な役割を果たす取り組みといえます。

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